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     北鎌尾根
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ゲスト
投稿日時: 2009-5-10 20:11
北鎌尾根
北鎌尾根

岳人なら一度は辿りたい憧れのバリエーション、クラシカルルート。
もう語り尽くされている感があるこのルートはやはり価値のあるルートだった・・・・。
残雪期の北鎌尾根、椎谷Lが行こうか?と、どっかの山行の帰りの呑み屋で話がでた。
連休の取りづらい職場環境でたまたま今回はまとまって休みが取れた。こんなチャンスは滅多に無い、二つ返事で参加表明。あとは好天を祈るノミ。

4月24日
4名、町田でミーティングを行う。
参加メンバCL椎谷、SL守下、みずなら姫さん(ベテラン)、当会の井藤の4名の混成チーム。体力的には問題の無いチームだ。足もそろってるだろう。。
高層天気図をリーダーが広げる。ここ1週間は好天が続き、地図の端っこには雨域を示す気圧の谷が示されている。時系列で追うとちょうど5月3、4日の核心部にこの雨域が重なるようだ。
3000mの稜線だぜ、多分吹雪くだろうねぇ。うーん、早駆けで抜けるか、荷物を考えるとちょっと無理もあるな、しかし行く事は決定だ。特に今回は食料など徹底した軽量化で臨む。体調、足など勘案して一日目は水俣乗越しを超えて北鎌沢出合まで一日で入る案もでたが・・・、
体力的にどうかな?ザックはライペンの55リットルにするとか、入るかなぁ・・・・
尾根に上がればエスケープルートは無い。慎重に天候判断しようと云う事になった。

5月1日
19時に会社を脱出した。さぁて前夜祭は新宿西口ガード横の回転寿司だ。たらふく食ってエネルギーを確保する。都庁下高速バスターミナルへ、去年夏の黒部以来だな。
ふふふ、10時半横浜で姫さんが乗ったアルピコ信州号が入ってくる。11時発、極めて順調だ。途中高速を降りて一般道を走ってる。節約かな?諏訪湖で再び高速、岡谷を過ぎたらみどり湖でまたすぐ降りてしまった。Zzzz目が覚めたら釜トンネルを抜けたところ。正面に焼岳、大正池の奥に穂高の吊尾根が望まれる。アルプスだ!身体の中でモードが切替わる。上高地には6時に到着した。

5月2日
観光地、上高地バスターミナルを下りて勝手しったる右手の売店で今日の朝飯トン汁とおこわの弁当を食す。各人に装備分け6時20分発、テントやガチャやスノーバーなどを入れたザックの重さは20キロ迄はいかない?までもアルパインを実感する。雲一つ無い好天だ。明神7時20分〜徳沢〜横尾9時20分此処までが上高地街道だ。左手の屏風岩にもいつか取付いてみたいと思っている。
横尾から涸沢への橋を左に分けグッと人が減る、登山道に雪が出てくる。一ノ俣谷(常念に突き上げる沢)を右に分けたところで一本とるがここで右膝左側靭帯を痛めたようだ。この所のデスクワークでろくにトレーニングしてない仇が出たよ。様子見だが精神的にはこれからの行程を考えると憂鬱だ。メンバーは極めて快調だ。沢沿いの登山道を辿る。11時15分槍沢ロッジ。ビールを仕入れたい欲望を抑えテルモスに水を補給する。此処から標高差170m、30分も登ればババ平に到着だ。時々横尾尾根から雪崩れる轟きに驚く。気温が高い、あんなの食らったらひとたまりも無いな。12時ちょうどババ平。小野ちゃんと始めて槍に登ったことを思い出す。
さて計画ではババ平(幕)だがこの時間で此処まで来たわけだから当初打ち合わせ通り水俣超えで北鎌沢出合い迄行くこととする。この好天は逃す手は無いよ。膝もペースを上げなければ何とか持ちそうだ。しかし少々バテタな。椎谷Lはすこぶる元気だ。
  
U字谷を歩く目の先が水俣乗越しだが正面はとても急なルンゼに見える。雪崩のデブリも有るぞ。椎谷Lが西岳よりの比較的傾斜の緩いルンゼに取付く、付近にいた5人パーティもどちらに行こうか逡巡してたようだが椎谷Lの判断のもと後を追いかける、若い人たちだ。自分は後方で膝をかばいながらの登高になる。5人パーティは静岡労山だという。旅は道連れ、同じ目的、同じ目標の同行パーティとなった。若者はいいなぁ・・・先行トレースをつけてもらって随分助けられた。ありがとう。。東鎌尾根まで400mの登り北鎌沢出合い迄600m下る。完全縦走となると千天出合いから取付くがアプローチが核心と言われている。“沢や”にはなーも問題無いと思うけど。。現在は大天井から貧乏沢を下るコースがガイドコースになっているらしい。さてさてやっとの事で東鎌尾根の稜線に立つ。槍の穂先と続く北鎌尾根が厳しい稜線を描いているのが見える。辿りついた最低鞍部が水俣乗越では無いので稜線を槍方面に少し歩いてみるが下れそうな沢傾斜が見当たらない。当初の鞍部に戻りトレースの有る窪を天上沢を目指し下る。一面の雪面で思わず尻セードしたくなる誘惑を堪えツボ足で下る。尻セードは楽だけど雪下に何が有るか分からず危険だ。ましてスピードコントロールできなくなれば滑落と同じでアイゼンが雪面に引っかかって足首が逆さに折れてしまう事故も多々ある。絶対滑ってはならないな。アイゼン外して靴スキーなら安全で効率的だ。天上沢から北鎌沢出合い17:00着。先行パーティの幕が三張り、一つは単独の男性。あとは静岡労山のメンバーだね。
幕を張り豪華なトイレは姫さんが創作してくれた。アプローチの階段まで作ってあるんだよ(笑)本日登高距離は19キロと累積登高差は1800m!行動時間は11時間!になった。食事後雪で右膝アイシングで痛みを取る。明日迄は天気がもつはずだ。身体は動けるか?早々就寝する。リーダーはどんな思案をしてるか知る由も無い。SL
はお気楽だ。

5月3日
昨日は厳しいアプローチだった。夢も見ず熟睡した。ガスはかかってるがじき晴れるだろう。3時起床5時撤収5時半北鎌沢出合いに取り付いた。右に緩くカーブしながら鞍部に続くルンゼだ。上部は随分急峻に見える。はたして登れるだろうか?標高差640mだ。締まっている雪面に軋むアイゼンの歯が小気味良い。順調に高度を稼ぐ、慎重にステップを切る。日が出てきて雪面を照らす、今日も好天が期待出来そう。ありがたい。しかし登攀スピードは明らかに遅い。椎谷Lは遥か上、姫さん先に行って、親さん先に行ってくれ、日が当たると途端に雪が軟らかくなりいずれ腐れ雪になるのだろう。ツアッケが効くうちに稜線に上がりたいものだ。7時40分偽ピークで小休止。此処から北鎌のコルまで雪壁のトラバースとなる。天上沢まで600mの滑り台だ。想像出来るだろうか?滑落は許されない。滑ったら途中で止める事は不可能に近い。小気味良い高度感だ。コル到着8時30分、3時間もかかってしまった。荷が重いのだ。いよいよ北鎌尾根に入った。雪のリッジになりトレースが続いている。すぐにP8先行の静岡労山の人たちと少々駄弁って先行する。
  
神経を使うリッジの登高が続く途中雪の付きが悪い草付きのリッジがありロープを椎谷Lが出してくれた。やっぱりロープが要るんだ。ほんの10m無い位いなんだけど後ろが切れ落ちていて壁が立っている。中間二人はアッセンダーで確保SLは最後にビレーして貰えるので楽ちんだ。雪庇が天上沢へ張り出している雪尾根を登高する。稜線漫歩とはいかないなぁ。。。緊張の連続で、トレースを丁寧に拾っていくがトレースが正しいとは限らない、最初にトレースを付ける人は責任重大だな。P9天狗の腰掛10時30分だ。すでに稜線にでて2時間経ってる。目の前はこの尾根のランドマーク独標だ。何処から登るのか?険悪な中央のルンゼからリッジにつながり上部ドーム型の雪稜にトレースが認められる、先行の単独男性がルンゼに張り付いて動かない。あそこを登るのかぁ・・・・見た目程悪くは無いという話だが、トラバースルートは?雪に埋もれて全く分らない。直上するしか手が無いみたい。CLの判断で直上する事になった。
  
一旦独標のコルに下り正面のルンゼを目指して登り返す。この辺からトラバースルートがある筈なんだけど全くの雪壁で横断する気にもならない。千丈沢までスッパリ切れている。ルンゼの入口はこりゃまた北鎌沢左へスッパリ、左に潅木があってシュリンゲがぶら下ってる。そこから上部へ直上するが雪壁だ。10m位い長くは無い、壁といってもステップは切って有るので問題は無いが氷化した壁だと難しいだろうなぁ・・・稜上で椎谷Lがビレーだ。そこから雪稜の登攀で独標の頂きに飛び出した。12:30だ。
  
正面に槍ヶ岳の絶景だ。登り出して既に7時間経過、そろそろ疲れが出てくるか、既に両足は悲鳴をあげているけど。独標P10からP15まで大小の岩峰群を通過しなければ北鎌平までは辿り付けない。右に左にうねる岩峰群はまさに鎌尾根だ。天候は幸い高曇りを保っている、ここからどれぐらいの時間がかかるのか、明日は天候が崩れる予報。今日中に槍を抜けようなんて当初目論んでたがそうそう甘くは無い予感がする。雪の付いて無い岩峰をアイゼンの爪でクライムダウンする。やはり時間がかかる、千丈沢側のトラバースは被さった岩のアンダーを取りながらトラバースする、緊張感の出るところだ。重荷で身体が岩から剥がされそうだ。巻き終わるとこんどはチムニー状を稜上に抜ける。爪を利かせて思いっきって行こう。そんな行動のくり返しで精神的にも肉体的にもヘトヘトになる。
  
15時40分多分P15テントが見える北鎌平が谷を挟んで向こう見えた。あぁもう少しだな。井藤が調子悪い、椎谷Lが(正直に言えよ、疲労度は何パーセント?井は75と答える、じゃぁ問題ないな)自分は此処に幕張りますかぁ?と無責任なことを言う。Lは天候が崩れると視界は無くなりトレースも無くなる。と言う。あぁマネジメントしてなかったな。つまらない事を言ってしまったと後悔する。目の前の北鎌平も1時間はかかりそうだ。出発する。
  
岩と雪のミックスの岩稜を登りつめると幕が張ってある北鎌平に到着した。なだらかな鞍部だが両側にすっと切れ落ちていく地形だ。16時20分もういっぱいいっぱいだった。今日も11時間行動。。よく頑張ったなぁ。稜線上に幕は5張り上を見上げれば槍の穂先が覆い被さってくるようだ。天候は保ってくれた高曇りである。視界良好。早々に幕を張る。井藤が体調不良でダウンだ。食事も咽を通らず、しかし脱水症にならないように水分は半強制で飲ませる。椎谷Lから外に出るときはゾウさんで絶対出ないように靴に履き替えるように注意される。なだらかな傾斜が斜度を増しながら谷底につながっているのだ。3000mの稜線である。
  
夜半は時々突風が吹いた。風が吹いたとたんバチッと音がした記憶があるが眠りに再び引き込まれた。

5月4日
夜は風に吹かれたようだが朝方には止んだ。ありがたい事に天候は曇り。降雪を覚悟していたのにうれしい。視界も良好だ。今日はすこしのんびりした、姫さんの介護で井藤も回復した。感謝。テント撤収時おどろいたことにフライシートの細引きが風で引きちぎれてペグが埋まっていた。劣化していたのか、いずれにしても幕ごと飛ばされずに良かったけど、共同装備の自己点検は必須だった。
  
7時にスタート、最後の登攀だ。足取りは相変わらず重いが膝の痛みは何処かへ飛んだ。そんなことに構ってられないのだ。壁がだんだん立ってくる。岩峰に張り付いている自分を想像すると“しあわせだな”高度感が素晴らしい。7時30分椎谷Lがロープを取り出し姫さんがビレーだ。1P目椎谷Lリード中間はアッセンダー確保で最後が自分だ。2P目はツルベで守下リード、有名?な凹状のチムニーの手前で支点が有ったのでピッチを切る。ちょっと狭いので上迄抜ければよかったな。ピナクルで支点を追加する。雪質が部分部分でサラサラでステップを崩すのでちょっと緊張した。
  
こちらが時間かかってるので下から静岡労山のメンバーが追い付いてきた。ノーザイルだったのでそのままスルーしてもらう。ほんとはロープ確保したかったみたいだけどこちらも狭い棚の3名でいっぱいだったので勘弁してもらった。申訳なし。。
下から椎谷Lが上がってそのまま直上する。ロープ要らない(笑)みたい。50m目いっぱい伸ばして多分山頂に到達しただろう。
  
頃合見計らって姫さん、井藤に上がってもらうが井は少々苦労したか?上で静岡の人に構って貰ってる様子で少々苛つく。。サクっと登ってよ、自分のことは棚上げだ。最終ピッチを味わって登ると山頂に人だかり上から見下ろされて気分は・・・まぁしょうがないか。祠の裏側にひょっこり飛び出した。
9時55分登攀終了、全員無事槍ヶ岳頂上に辿りついた。360度の視界を満喫する。
  
2回目は北鎌尾根かぁ・・・東釜尾根の奥の常念が秀麗な姿を見せる。独標からうねった鎌尾根を辿ってきたんだ。さて登ったら下降だ。有名な梯子にアイゼンを引っかけないように注意して下るが氷化している部分もあって意外といやらしい。10時40分肩の小屋に到着握手とコーラで乾杯した。
  
11時下降開始、雪は締まっているので飛騨沢をそのまま下降する。広い谷だ。一応雪崩れを警戒するが問題はなさそう。大股でぐんぐん下る。相変わらず椎谷Lは早い。一時間程の駆け下り、で左手に大きなダケカンバの木が有る所で休憩する。大汗だ。天候は崩れるはずが薄日が差してて暑い。この連休中はほんとに天候に恵まれているなぁ、もう崩れても大乗ぶだよと勝手な事を思う。さて此処から飛騨沢の中心部に下り槍平に向かうが雪崩のデブリの堆積地帯だ。ものすごいデブリ帯に圧倒される。すごいなぁこんな雪崩に遭遇したら木っ端微塵だな。自然の脅威にビビル。井藤はやはり本調子ではなく時々わき腹を押さえてる。歩行も遅々と進まない、頑張れ。。槍平も2007年年末の雪崩事故で多数亡くなられている。合掌。。周りを見渡せば雪崩そうな斜面が集中しているように見える。此処は大丈夫だと云われ続けていた場所だ。何が有るか分からないのが自然の脅威だな。
小休止してさらに下る。雪崩のデブリ帯がさらに続いてルートが判然としない。すごいなぁ・・・・ただただ驚愕である。やがて下山ルートも雪崩のデブリが押し出している滝谷、チビ谷を超え白出沢出合いにつく頃にはすっかり雪は消えた。椎谷Lと姫さんにはいまだ追いつかず。しかしいずれ追いつくだろう。僕には分かるんだ。なぜならふきのとう街道だから(笑)いたいた、すでにビニール袋はパンパンだ。この為にわざわざ新穂高に廻ったのだ。しかし新穂高温泉口は遠い。林道歩きもつらいなぁしかし椎谷Lは途中でタクシーを呼ぶことも無く歩く歩く。17時40分新穂高温泉口着。あぁ終わった。しかし無情にも新穂高の無料温泉は鍵が掛かってて営業中止になってるんだよ。僕は知らなかった、これだけが楽しみにだったのに。あ〜とても理不尽な幕切れじゃぁないか。。


先達の壮絶なビバークの舞台になった北鎌尾根、自分でマネジメントできる山行ではなかったが充分満足、今後の糧にしたい。井藤は初めての槍が北鎌??ちょっと順番が違ったな、力不足は否めないが丹沢の沢で登り込んで訓練した成果が出た。姫さんの驚異的な体力登攀力にはただただ脱帽でした。椎谷Lには大変お世話になりました。
これからもよろしくお願いします。さわどん(*Θ_Θ*)/


























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